婦人科系

子宮筋腫について

今単発性と多発性


子宮筋腫は、通常は多発性です。多発性というのは、いろいろな場所に発生するという
ことで、子宮筋腫の場合でしたら、たいていの患者さんは複数の筋腫をもっているということになります。
しかし、産婦人科で、「○センチ大の筋腫が一個あります」というような説明を受けた人は、かなり多いはずで、これはこれで、誤りというわけでもありません。どちらが正しいというよりは、解釈の問題だと理解してください。
現実には、子宮筋腫がただひとつしかないことは、とてもめずらしいケースといえます
が、何個かある筋腫のうち、ひとつだけが大きくなり、あとのものは臨床的には問題にならない、数ミリほどの大きさにとどまっている、というケースは少なくないのです。しかも、検査ではっきりわからない、さらに小さな筋腫については、その存在を知ることができません。
女性ホルモンの分泌と女性の体調には、大きな関連があります。最初は数ミリ大だった子宮筋腫を大きくしていくのも、このホルモンの力によるものだといわれています。

 

心工ストロゲンと子宮筋腫
子宮筋腫の多くは三○~四○代の性成熟期に発見されます。年月とともに少しずつ大き
くなり、閉経の数年前から小さくなりはじめ、閉経するとかなり縮小することは、以前から知られていることです。
また、エストロゲンが大量につくられる妊娠中には、筋腫が急激に大きくなります。エ
ストロゲンを多量に含む高容量ピルを内服することによって、筋腫が増大することもあります。そこで、子宮筋腫の増大を招く主原因は、エストロゲンであるだろうということは以前から推測されており、現在ではそれが定説になっています。
近年ではエストロゲンそのものだけでなく、エストロゲン・レセプターが子宮筋腫の細胞内に存在していて、それが筋腫の増大に重要な役割を果たしているだろうと考えられています。