婦人科系

子宮筋腫について

鉄欠乏性貧血の確認

子宮筋腫が疑われる場合、まず最初に行われる血液検査が血算の検査です。血算とは血
球計算の略で、赤血球、白血球、ヘモグロピン(血色素)など、血液の主成分の数値のことをいいます。
「中年女性の貧血をみたら、子宮筋腫を疑え」というのが臨床医のセオリーのひとつになっているほど、子宮筋腫を原因とする鉄欠乏性貧血はよくみられます。

貧血の程度は、ヘモグロビンの数値により判断され、成人女性のヘモグロビンの正常値
は一二~一六g/jとされています。したがって、ヘモグロビンが一二以下になると、貧血と診断されます。
子宮筋腫があって、過多月経が長期間にわたってつづくと、ヘモグロビンが一○g/Ⅲ
以下になることも少なくありません。もっと重症になると、三~四g/Ⅲ台にまで下がることもあります。
血算の検査結果から、ヘモグロビン以外の項目の数値と照らし合わせ、貧血の原因を推
測することも可能です。子宮筋腫による貧血の場合は、顕著な「鉄欠乏性」のパターンを
とります。

 

子宮筋腫と、子宮内膜症や子宮腺筋症との合併が疑われる、とき、血液を採取して腫傷マ-カーを調べることがあります。この場合、本来は卵巣ガンの存在を調べるためのCAn‐5という腫傷マーカーを調べます。というのも、子宮内膜症や子宮腺筋症があると、卵巣ガンに比べれば低値ですが、腫傷マーカーの数値が上昇するからなのです。このマーカーが上昇していれば、子宮筋腫ではなくて子宮内膜症か子宮腺筋症である、あるいは子宮筋腫に後者が合併している、ということになります。

女性の卵巣の働きには非常に大きな個人差があります。そして、一般に、子宮筋腫のあ
る女性の卵巣はよく働いていて、エストロゲンがたくさん産生されるといわれています。
また、一人の女性の一生でも、年齢とともにエストロゲンの産生量は変化します。
更年期に入ると、エストロゲンの産生を促進するホルモンのLHとFSHが上昇し、や
がてエストロゲンが低下してきます。
「もうすぐ五○歳になるけれど、まだまだ月経は終わらないのかしら?」といった質問を、子宮筋腫をもつ患者さんから受けることがありますが、エストロゲン、LH、FSHという三つのデータをチェックすることによって、閉経の見通しをある程度立てることが可能になる場合もあります。