婦人科系

子宮筋腫について

子宮を摘出しても女性は女性

先にも申しましたように、日本ではまだまだ「子宮をとってしまったら、女性ホルモンがなくなり、男のようになって、セックスもできないのじやないか」と思い込んでいるご夫婦が意外と多いのです。ここで正しい知識をお話ししておきましょう。
子宮筋腫で子宮をとる手術は、基本的には子宮だけを除去するのであって、卵巣は正常であれば極力残しますし、睦もそのままの状態で残ります。
女性ホルモンは子宮ではなく、卵巣でつくられるものなのです。
ですから子宮がなくなると、確かに月経は起こりませんが、卵巣は従来どおり働いて、女性ホルモンをつくりつづけ、女性らしさを守ってくれます。更年期障害が早くくることもありません。
特に子宮を全摘出するような場合は、いまなお「子宮がないと女でない」というような、まちがった考え方が、男女ともにまかりとおっている面があるので、そうした考えを払拭していただき、もちろん術後のセックスにも弊害がないことを知っていただきます。
ご主人が、病気をきちんと理解して、常に奥さんを励まし、支えているご夫婦の場合は、奥さんの精神状態も非常に安定していて、手術の経過もよく、回復が早いのです。
またたとえ、子宮筋腫の手術の際に両方の卵巣を摘出したとしても、人間の体はうまくできていて、少量ながら副腎が女性ホルモンを供給してくれます。また卵巣欠落症状が出た場合は、女性ホルモン剤漢方薬の投与で乗り切ることができますから、心配は無用と思ってください。


このことは手術後の生活のところでも再度ふれますが、しっかり申し上げておかなければなりませんね。
子宮筋腫で子宮をとり出す場合の手術法は、単純子宮全摘出術です。これは子宮がんのときの広汎性子宮全摘出術などと違って、子宮のみを摘出することですから、瞳は手術以前のまま残されるわけです。長さが短くなったり、狭くなったり、ゆるんだり、うるおわなくなったり……といったことは全くありません。したがって手術後のセックスにはなんの支障もありませんから、医師からGOサイ
ンが出たら、心配せずに再開なさってください。