婦人科系

子宮筋腫について

卵巣腫傷

卵巣は茎状の組織により、子宮とつながっている。卵巣嚢腫で、この茎状の組織がなんらかの原因によってねじれた場合が、卵巣嚢腫の茎捻転と呼ばれるものだ。
茎状の組織(卵管、靭帯)がねじれると、その先にある腫傷(コブ)への血流が遮断され、血液が滞留する。やがて壊死状態になってゆくのである。
そこで激しい痛みを覚えるようになる。
鈍い下腹痛を訴えることもあるが、多くは強い痛みを訴える。このため、急性の虫垂炎(いわゆる盲腸炎)と間違えられることもしばしばある。
このように激痛を訴える茎捻転では、手術をすることになる。卵巣全体がうっ血によって真っ黒になっているような場合では嚢腫部分だけでなく、卵巣もいっしょにとってしまう。それほどひどくなければ、患部のみ除去し、正常な部分を残す核出術が適用できる。
卵巣除去の手術を行なっても悲観しなくてよい。片方の卵巣が残っていれば妊娠は可能であるし、現在妊娠中なら、妊娠継続ができるからだ。流産の心配もとくになく、無事出産することができる。
しかし、妊娠中(とくに妊娠末期)、大きいお腹にかくれて存在のわからなかった卵巣嚢腫が、出産後みつかることはめずらしくない。
子宮がカラになり、やがて収縮するとともに、卵巣嚢腫が活発に動きまわるようになる。このとき茎部の捻転を起こすことがある。だいたい産後五~六日を経過したあたりであり、まったく不意の痛みのため、とまどってしまう。
このような場合では、一刻を争って手術を行なわないと危険である。


卵巣嚢腫と腫傷の大きな特徴は、症状をみせにくい点にある。とくに初期にいたっては、まったくといってよいほど症状がないため、欧米では卵巣腫傷の別名を「沈黙の病気」と呼んでいるほどだ。
“ したがってどうしても発見が遅れ、手遅れとなることが少なくない。大部分は良性のものとはいいながら、悪性のガン化するものもないわけではない。

婦人科の検診の際などを利用し、早めの発見を心がけるべきである。自覚症状が出てからでは危険である。