婦人科系

子宮筋腫について

変性してしまう

子宮筋腫は続発性変化をする場合があります子宮筋腫は良性の腫傷ですから、後述するように、がんのような悪性の腫蕩に変化することはありませんが、そのままの状態で経過
するわけでもありません。ほとんどの筋腫は、続発性変化(二次的変化・続発変性)といって、時間がたつにつれて、外見や組織が変わっていきます。

続発性変化としては硝子化変性、赤色変性、石灰化、嚢胞形成、脂肪変性、感染などがみられます。
硝子化変性は続発性変化の中でもいちばんよくみられるもので、子宮筋腫の血行障害が原因で起こります。
筋腫はふつう周りの正常な部分にくらべてやわらかいのが特徴ですが、筋腫全体または一部分が、ガラスのようにかたく変性してしまうのです。
治療は、原則として子宮を全摘出することが多いのですが、妊娠に合併した場合には、必要があれば筋腫だけをとるようにします。
赤色変性は筋腫が急に大きくなって、静脈閉塞を起こすと、筋腫内に出血が起こって、赤褐色に変性してしまうことです。妊娠中の筋腫に急性に起こりやすいものです。妊娠していない場合は、劇的経過をとることはなく、硝子化、石灰化へ進みます。

硝子化変性などがさらに進むと、いろいろな形の袋(嚢胞)を形成(嚢胞形成)して、この嚢胞の中に、ゼラチンのような物質がたまってきます。
石灰化は閉経後の女性によくみられるもので、筋腫の血流が障害された結果、筋腫が変性してカルシウムの沈着が起こり、歯や骨のようにカチカチにかたくなってしまうものです。子宮石と呼ぶ場合もあります。
つい先日も閉経後の他才の患者さんで、そういう症例がありました。ひどい下腹痛があり、下腹にかたいものがふれるというので検査したところ、ガチョウの卵大の筋腫がカチカチに石灰化していました。おまけにその筋腫が茎捻転していたのです。
内科・外科と回って、ようやく婦人科で原因がわかり、手術で子宮を全摘出しました。
この患者さんの筋腫は、こうした状態のまま経過していたことになります